乳酸菌の種類って?

菌属 菌形態 主な菌種とその利用または分布
ラクトバチルス(Lactobacillus) 桿菌 プルガリクス:ヨーグルト・乳酸菌飲料

ヘルペティクス:チーズ・ヨーグルト・

乳酸菌飲料 

アシドフィルス:ヨーグルト・乳酸菌飲料乳

酸菌製剤  カゼイ:チーズ・はっ酵乳・酸

菌飲料 

プランタルム:はっ酵食品・サイレージ         

ファーメンタム:醗酵産物
ラクトッコッカス  (Lactoccus) 桿菌 ラクチス:チーズ・醗酵バター・クレモリス
ストレプトコッカス(Streptoccocus)      双・連鎖球菌 サーモフィラス:ヨーグルト               

ミュータンス:口腔内
ロイコノストック(Leuconostoc) 球菌 メセンテロイデス、パラメセンテロイ

デス:チーズ・発酵乳
ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium) 桿菌他 プレーぺ、ピフィダム、インファンティス:

乳児または成人の腸管・はっ酵乳・乳酸菌製剤

サーモフィラム、シュードロンガム:動物の管


ラクトバシラス(ラクトバチルス)属
 代表的な乳酸菌でこの属には70種以上あり、乳酸などの多くの有機酸を産生します。耐酸性にすぐれているのが

特徴です。

 グラム陽性の桿菌でホモ乳酸菌とヘテロ乳酸菌があります。ホモ乳酸菌はグルコースを栄養源として乳酸のみを

産生します。ヘテロ乳酸菌は乳酸の他に炭酸ガスやエタノールも産生します。これらの乳酸菌はヨーグルトの製造

に用いられ、ヒトの小腸にも棲息しています。

    ◎L.カゼイ菌・・・ヨーグルトや乳酸菌飲料に含まれる。腸内にも存在します。
     L.ファーメンタム、L.プランタラム、L.アシドフィルス、L.ブフネリ、L.ブレービィス、

エンテロコッカス属
 乳酸球菌で、エンテロとは「腸内」、コッカスとは「球状」の意味。ヨーグルトなどの乳製品、醤油、肉、魚、野菜など

に見られます。グラム陽性、通性嫌気性球菌。ホモ乳酸菌です。

    ◎E.フェカリス菌や、E.フェシウムなどがあります。

ラクトコッカス属
 この属には5種あります。乳酸球菌。ラクトは「乳」、コッカスは「球状」の意味。牛乳や乳製品に多く見られます。

これはグラム陽性で、ホモ乳酸菌です。

ストレプトコッカス属
 ストレプトコッカス属はヒトの口腔、動物に多く棲息しています。虫歯菌と知られているミュータンス菌もこの属です。

これは双・連鎖球菌でホモ乳酸菌です。

   ◎ハロフィルス菌などがあります。

ペディオコッカス属
 ピクルスなどの発酵植物製品、発酵ソーセージなどに見られます。これはグラム陽性の球菌でホモ乳酸菌です。

   ◎ハロフィルス菌などがあります。

ロイコノストック(リューコノストック)属
 サワークラウトなどの発酵植物製品に見られます。これはグラム陽性の球菌で、ヘテロ乳酸菌です。




ビフィドバクテリウム属(ビフィズス菌)
 1899年、フランスのパストゥール研究所の小児科医ティシェは、母乳を飲む乳児の便の中から、YやVの字の形をした細菌を発見し、ラテン語で「分岐」の意味を持つビフィッド(bifid)からビフィズス菌と名付けられました。母乳を飲む乳児の腸内は、ほとんどがビフィズス菌です。ビフィズス菌は多様な形態を持つグラム陽性多形桿菌で、短桿状、球状、Y字状、湾曲状、分岐状の形をしています。一般にビフィズス菌は乳酸菌と同類とみなされていますが、ビフィズス菌はグラム編性嫌気性桿菌のヘテロ乳酸菌で、乳酸と酢酸を産出します。空気のほとんどないヒトの大腸に棲息します。乳酸菌とビフィズス菌を核酸のグアニン(G)+シトシン(C)のmol%比率によっても区別することができます。G+C mol%とは、DNAを構成する4種類の塩基のち、グアニン(G)とシトシン(C)の占める割合をパーセントで表したもので、細菌類はG+C mol%値により2つのグループに分けられる。すなわち、G+C mol%値が低いグループ(low GC group, 24〜50%)と高いグループ(high GC group, 50%〜)である。乳酸菌はG+C mol%値が低いグループで、ビフィズス菌(ビフィドバクテリウム属)はG+C mol%値が高いグループに属します。

ビフィズス菌にはおよそ36種類に分類され、主な菌種としてBiffidobacteriumbifidum, B. longum, B. breve, B.lactisなどがあります。乳酸菌のように多量の乳酸をつくらず、ホスホケトラーゼを産生し、フルクトース-6-リン酸経路によってグルコースを分解してモル比3 : 2で酢酸とL(+)乳酸に変換し、少量のギ酸、エタノール、コハク酸を生成しますが、炭酸ガス、酪酸、それにプロピオン酸を生成しないのが特徴となっています。ビフィズス菌はG+C mol%値が乳酸菌のそれよりも高いこと(57〜67%)を除くとほぼ特性およびヒトのお腹で優れた保健効果も同じです。 

幼年期に確立した腸内菌叢は青年期、壮年期に入るとビフィズス菌は減少し、逆にアンモニア、アミン、インドール、フェノール、硫化水素などの有害物質を生産する大腸菌やクロストリジウムなどの細菌が増加して、一連の生活習慣病を引き起こす原因をつくっています。乳酸菌同様、ビフィズス菌もこれら有害菌の増殖を抑え、結果的にこれら細菌が生産する有害を抑制します。