抗変異原性
焼魚や肉のお焦げの部分は特に変異原性物質(トリプP1、トリプP2等)を含んでいます。変異原性物質は
細胞の突然変異の原因となる性質をもっており、これらを日常の食事で頻繁に食べ続けていれば、変異原性
物質が体内に取り込まれる癌が誘発され、決して無視できるものではありません。その一方で、焼き魚に添え
るレモン、大根おろしや野菜の中には変異原性を抑制する作用があることが明らかになってきました。乳酸菌
もその一つで細胞の変異を抑制することができます。
抗変異原性作用機序として
@変異原性物質に対して直接不活性化をもたらす性質
A細胞に対して変異原性物質からの防御機能を高めて不活性化させる性質
B変異原性を修復するもの
に分けられます。食品中の抗変異原性物質は、@およびAに属するものが一般的です。
乳酸菌のもつ抗変異原性作用は、主として@の変異原性物質に対して直接不活性化することに
起因していると言われています。
乳酸菌は変異原性物質に対し、吸着し、変異原作用を無力化します。特に乳酸菌の細胞壁成分のペプチド
グリカンが変異原物質や癌原物質と結合する性質があります。
従って乳酸菌の抗変異原性作用に関しては「生菌」、「死菌」に関係なく効果があります。
変異原物質や癌原物質と結合は短い時間で起こり、この結合は安定です。この乳酸菌の細胞壁と変異原性
物質の結合は疏水結合であろうと推察されています。変異原性物質と結合した乳酸菌は便と一緒に体外に
排出されてしまいます。
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